これからデータサイエンティストとして働きたいと考えていませんか?
未経験から就職を考えている場合、資格取得は有効な手段です。
本記事では、これからデータサイエンスの勉強を始める人に向けて、データサイエンティストとして働く上で役に立つ資格を9つ、難易度順に紹介していきます。
この記事で紹介した資格を一つずつ取得していくことで、データサイエンティストへの就職に近づくでしょう。
データサイエンティストとは?
まず、データサイエンティストという職業について説明します。
データサイエンティストとはどんな職業か
データサイエンティストとは、大量のデータを分析し、そこから新たな価値を見出し、ビジネスに活用する職業です。
2010年代以降、ディープラーニングという高度なデータ分析手法が世界中に広がりました。また、ネットがさらに普及したことにより、ビッグデータの総量が増大しました。
このような時代の流れにより、ビッグデータから高度なデータ分析ができるデータサイエンティストという職業は注目を集めています。
データサイエンティストに必要なスキルは?
一般社団法人データサイエンティスト協会によれば、データサイエンティストに必要なスキルセットは、以下の3つです。
- データサイエンス力
- データエンジニアリング力
- ビジネス力
(出典:https://www.datascientist.or.jp/news/n-pressrelease/post-1757/)
データサイエンス力、データエンジニアリング力を活かして、ビッグデータを分析し、その分析結果からビジネス力を活用して、新たなビジネスプランを作成する、というのがデータサイエンティストに必要な技能です。
データサイエンティストに資格は必要か?
データサイエンティストにとって、資格は必要なものではありません。実際に、多くの人が資格を一つも取得せずに、データサイエンティストとして働いています。
資格が必要とされないのは、IT系の職業は、資格よりも実務経験の方が重要視されるからです。これまでどのようなプロジェクトに参加し、どのような活躍をしたのかがIT業界では最も重要視されます。
しかし、まったく未経験の人がデータサイエンティストとして働く際は、もちろん実務経験はありません。そのため、就職の際に自分の実力を示すものがありません。
そのような時に、資格は有効です。資格を取得することで、自分の実力を客観的に相手に示せます。
このように、データサイエンティストにとって資格は必要というわけではありません。しかし、資格はこれからデータサイエンティストとして働こうとする際に、自分の実力を証明するものとして活用できます。
データサイエンティストに役立つ資格9つ
データサイエンティストとして働く上で役立つ資格は以下の9つです。
- G検定
- データサイエンティスト検定(DS検定) リテラシーレベル
- Python3エンジニア認定データ分析試験
- 統計検定
- 基本情報技術者
- オープンソースデータベース(OSS-DB)技術者認定試験
- ORACLE MASTER
- E資格
- データベーススペシャリスト試験
これらの資格を3つの難易度に分けて紹介します。
初級編
初級編では、G検定、DS検定、Python3エンジニア認定データ分析試験について説明します。
G検定
G検定は、一般社団法人日本ディープラーニング協会が認定している資格です。この試験では、一般の人が最低限知っておきたいAI、ディープラーニングの知識が問われます。
出題範囲は、一般の方が最低限知っておきたい知識であるため、データサイエンティストなら確実に知っておかなければならないものです。一般の人向けの試験ですので、難易度も決して高くはなく、データサイエンスの勉強の第一歩の資格といえます。
G検定の合格率は、6〜7割で特に難しくはありません。
(出典:https://www.jdla.org/news/20240129001/)
また、G検定の合格者アンケートによれば、G検定に合格するために必要な勉強時間は30時間程度です。
(出典:https://www.jdla.org/certificate/general/start/#toc10)
データサイエンスを勉強する始めの一歩として受験してみてはいかがでしょうか。
データサイエンティスト検定(DS検定)リテラシーレベル
DS検定は一般社団法人データサイエンティスト協会が認定している資格です。
DS検定では、データサイエンティストが働く際に必要なスキルをデータサイエンス力、データエンジニアリング力、ビジネス力の3つのカテゴリーに分けて出題されます。
DS検定を受験することで、データサイエンティストに必要なスキルを概観できます。
DS検定は、データサイエンティストの仕事内容の概要をつかみたい方におすすめの資格です。
DS検定の合格率は、4〜5割程度とやや難しい試験です。
(参考:https://www.datascientist.or.jp/dscertification/results/)
DS検定は、データサイエンティストとして基本的な事項しか出題されません。そのため、すでにある程度勉強している人には難しい問題ではありません。
しかし、0から勉強する場合、出題範囲が広いので十分な勉強時間を確保する必要があります。初心者の方は、100時間程度勉強すれば、十分合格できます。
DS検定公式サイト:https://www.datascientist.or.jp/dscertification/
Python3エンジニア認定データ分析試験
Python3エンジニア認定データ分析試験は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が認定している資格です。
データ分析試験では、Pythonを用いた基本的なデータ分析スキルを有しているかが問われます。
これからPythonによるデータ分析を勉強しようと考えている方に、おすすめの資格です。
Python3エンジニア認定データ分析試験の出題範囲は、Pythonによる基本的なデータ分析手法のみです。そのため、合格するのは簡単です。
実際に、試験の合格率も、全体で85%、非エンジニアで75%程度です。
そのため、これからPythonの勉強を始める人でも、50時間程度の学習で十分合格できるでしょう。
参考:https://jinjibu.jp/spcl/python-exam/cl/detl/4677/
Python3エンジニア認定データ分析試験公式サイト https://www.pythonicexam.com/exam/analyist
中級編
中級編では、統計検定、基本情報技術者試験、OSS-DB技術者認定試験、ORACLE MASTERについて説明します。
統計検定
統計検定は、一般財団法人統計質保証推進協会が実施、一般社団法人日本統計学会が認定している資格です。
この資格は、統計に関する知識、活用力を有することを証明する資格です。
データサイエンティストは日々、大量のデータを収集、加工、分析する職業です。これらのデータを適切に扱うためには、少なくとも大学教養レベル以上の統計学の理解が不可欠です。
統計検定の勉強をすることで、基本的な統計学の知識、データの加工方法、分析方法などを勉強できます。
これから、データサイエンティストとして働くには少なくとも、統計検定2級以上に合格できるようになりましょう。
統計検定は、2022年以降、1級を除いてCBT受験となりました。これにともない、統計検定の合格率は1級を除いて公表されていません。しかし、2022年以前のデータから統計検定2級の合格率は4〜5割程度だと推定されます。
統計検定2級は、高校数学がある程度できる人ならば、100時間程度の学習で十分合格できます。
高校数学レベルの知識がない場合、統計3級、4級から受験してみるのも良いでしょう。
統計検定公式サイト:https://www.toukei-kentei.jp
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が認定している資格です。
データサイエンティストはデータ分析の専門家ですが、それ以前にITエンジニアの一種です。そのため、先ほど説明したデータサイエンティストに必要な3つのスキルに加えて、基本的なIT知識が必要です。
基本情報技術者試験は、これからITエンジニアとして働く人が最低限知っておいた方が良い知識、技能が問われます。
基本情報技術者試験は、令和5年度から通年実施となり、試験内容が大きく変わりました。
令和5年度以降の合格率は4〜5割と、以前の試験と比べてやや増加しています。
(参考:https://www.ipa.go.jp/shiken/reports/toukei_fe.html)
基本情報技術者試験は、IT全般の幅広い知識、技能が問われます。そのため、最初からITの勉強する場合は200時間ほどの余裕が必要です。
基本情報技術者試験公式サイト:https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/fe.html
オープンソースデータベース(OSS-DB)技術者認定試験
OSS-DB技術者認定試験は、LPI-Japanが実施している、世界中で使われているオープンソースデータベースである「PostgreSQL」に関する知識が問われる試験です。
OSS-DB技術者認定試験に合格すると、基本的なデータベースの取り扱い方を理解していることを証明できます。
OSS-DB技術者認定試験はSilverとGoldの2つに分かれています。合格率は公表されていませんが、それぞれ7割程度、6割程度だと推定されています。
試験自体は難しくはないため、50時間程度の勉強で十分合格可能です。
OSS-DB技術者認定試験公式サイト:https://oss-db.jp
ORACLE MASTER
ORACLE MASTERは、日本オラクル社が認定しているOracle Databaseの管理スキルを証明する資格です。
OSS-DB技術者認定試験と同様に、ORACLE MASTERの勉強を通じて、データベースの基本的な知識を勉強できます。
ORACLE MASTERはBronze DBA、Silver DBA、Gold DBA、Platinum DBA、Silver SQLの5つの試験に分かれています。これからデータベースの勉強をする方は、まず、Bronze DBAから勉強することをおすすめします。
ORACLE MASTERは合格率が公表されていないので、具体的な合格率は不明です。
ただ、ORACLE MASTER Bronzeは、特に難しい試験ではないので、30〜50時間程度の勉強時間で合格できるでしょう。
ORACLE MASTER公式サイト:https://www.oracle.com/jp/education/index-172250-ja.html#1
上級編
上級編では、E資格、データベーススペシャリスト試験について説明します。
E資格
E資格は、一般社団法人日本ディープラーニング協会が認定している資格です。
先ほど紹介したG検定は、一般の人向けの資格であるのに対し、E資格は、データ分析を専門に扱うエンジニア向けの資格です。
そのため、G検定と比べて、より高度な知識が求められるのに加えて、実際に実装できるスキルを有しているかが問われます。
さらに、E資格は受験の前に日本ディープラーニング協会が認定した講座を修了しなければなりません。この講座を修了するには、十分な受講費と時間が必要なため、そもそも受験するのが難しい資格です。しかし、E資格を取得することで、高度なデータ分析スキルを有していることを客観的に証明できます。
E資格の合格率は以下のとおりです。
(出典:https://www.jdla.org/news/20230915003/)
合格率を見れば、7〜8割なので一見簡単な試験のように見えます。
しかし、先ほども書いたとおり、E資格を受験するためには認定講座を修了する必要があります。認定講座では、課題に沿って自分でコードを書く課題もあるため、講座を修了する方が難しいです。
勉強期間は、どの認定講座を受けるかにもよりますが、講座の受講期間も含めて、半年以上かかるでしょう。
データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験は、IPAが実施している試験で、先ほど説明した基本情報技術者試験より高度なスキルが要求されます。
OSS-DB技術者認定試験やORACLE MASTERと同様に、データベースに関する資格ですが、データベーススペシャリスト試験の方が難易度が高いです。
この資格を取得することで、データベースを扱う高度な技術を有することを証明できます。
合格率は、1〜2割程度とかなり難関な試験です。
(参考:https://www.ipa.go.jp/shiken/reports/toukei.html)
勉強時間も0から勉強する場合、200時間以上必要です。
データベーススペシャリスト公式サイト:https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/db.html
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まとめ
本記事では、データサイエンティストとして働く上で役立つ資格を9つ紹介しました。
データサイエンティストにとって、資格は取得しなければならないものではありません。しかし、これからデータサイエンティストとして働きたい人が、自分のスキルを客観的に証明するために取得するのは有効です。
データサイエンティストになりたい方は、ひとまず、初級編の資格から取得してみてはどうでしょうか。