ディープラーニングを学び始めた方の中には、以下のようなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
「なぜディープラーニングの実装にPythonを使うの?」
「ディープラーニングにどのPythonライブラリを使えばいいかわからない」
今回は、Pythonでディープラーニングを実装するときに必要なライブラリを紹介します。データ準備・モデル構築~テスト・評価別に解説するので、工程ごとに適切なPythonライブラリを取捨選択できるようになります。
ディープラーニングを実装するための知識を得たい方は、ぜひ最後までご覧ください。
ディープラーニングとは?
ディープラーニングとは、数式に基づいて入力データのパターンをコンピュータが自動的に抽出するパターン認識技術です。具体的には、中間層と呼ばれるパターン認識を行う計算部分が3層以上のニューラルネットワークです。
画像やテキストなどのデータをディープラーニングモデルに入力すると、データの特徴を学習していきます。そして、学習済みのモデルを使って、未知のデータに対して予測を行います。
機械学習とディープラーニングの違いをチェックしたい方は、下記を参考にしてみてくださいね!
ディープラーニングが得意なこと
ディープラーニングは、機械学習のなかでも特に高度な予測が可能な技術であるため、下記のようにさまざまなことができます。
ディープラーニングが得意なこと | 具体例 | モデル例 |
---|---|---|
時系列予測 | ・株価予測 ・在庫管理 |
DNN |
画像認識 | ・異常検知 ・顔認識 |
・CNN ・GAN |
自然言語処理 | ・チャットボット ・文字起こし |
・RNN ・LSTM |
ディープラーニングが得意なことを活かして、チャットボットの「ChatGPT」やクラウドサービスの「AWS」など、幅広いサービスで採用されています。
Pythonがディープラーニングに使われる理由
RやJuliaなど、機械学習向けのプログラミング言語は他にもありますが、下記の理由からディープラーニングの実装にはPythonが使われる傾向にあります。
- ディープラーニング用のライブラリと好相性
- データを簡単に操作できるライブラリが豊富
ここでは、それぞれの理由について具体例を挙げながら紹介します。
ディープラーニング用のライブラリと好相性
Pythonは、ディープラーニング用のライブラリとの相性が非常に良いです。例えば、ディープラーニング用のライブラリの「Tensorflow」や「Chainer」はPythonに対応しており、下記のようにPythonで数行程度記述するだけで呼び出せます。
import tensorflow as tf
import chainer
import chainer.links as L
import chainer.functions as F
また、それぞれのチュートリアルにはPythonの独自ライブラリと組み合わせて、ディープラーニングをする方法が紹介されています。
Pythonにはディープラーニング用のライブラリを簡単に使える環境が整っていることが、ディープラーニングに使われる大きな理由です。
ディープラーニング用のライブラリは、下記で詳しく解説しています。
データを簡単に操作できるライブラリが豊富
PythonはCSVデータや画像、動画などさまざまな形式のファイルを簡単に扱えるライブラリが豊富です。例えば、Pythonライブラリの「Pandas」では、1行程度で日本語がある場合やヘッダーがない場合などさまざまなCSVファイルを読み込めます。
import pandas as pd
df = pd.read_csv('hoge.csv', encoding='cp932')
Pythonを使えば、前準備のデータ処理をスムーズにできる点も、ディープラーニングで採用される頻度が高い理由です。
ディープラーニングの実装手順
ディープラーニングの実装手順は、下記の5つの工程に大きく分けられます。
- データの準備
- モデルの構築
- 学習
- テスト
- 評価
まず、データの準備が必要です。ディープラーニングモデルに入力できるように、欠損値の処理や画像データの水増しなどによって元データを加工します。
次に、自力もしくはライブラリを使ってモデルを実装します。そして、実装したモデルとデータを使ってモデルを学習させた後に、学習データとは異なる未知のデータでテストを行います。
最後に、モデルの評価をします。ディープラーニングでは、画像による視覚的な評価と評価指標による定量評価を組み合わせて、多角的に見ることが一般的です。
モデルの最適化をするために、2〜5の工程を繰り返します。
【工程別】ディープラーニングに必要なPythonライブラリ
ここでは、ディープラーニングの実装工程別に必要なPythonライブラリを紹介します。紹介する工程とライブラリは下記の通りです。
- データ準備:Pandas・NumPy・scikit-learn
- モデル構築〜テスト:Pytorch
- 評価:NumPy・Seaborn・Matplotlib
それぞれどのようなライブラリか簡単に説明するので、参考にしてみてくださいね!
ディープラーニングのデータ準備:Pandas・NumPy・scikit-learn
ディープラーニング用のデータの準備工程で必要になるPythonライブラリは、主に下記の3つです。
Pythonライブラリ名 | 概要 | 利用シーン |
---|---|---|
Pandas | 表形式データ向けのライブラリ | ExcelやCSVのデータ加工 |
NumPy | 数値計算ライブラリ | ・時系列データの加工 ・マスク処理などの画像データの加工 |
scikit-learn | ・機械学習用ライブラリ ・MNISTやカリフォルニアの住宅価格などデータを収録 |
データを自分で用意できないとき |
scikit-learnには、前処理済みのトイデータや実世界データが16種類収録されています。そのため、データ作成の手間を省けて、モデルの構築にすぐ取りかかれるメリットがあります。
また、NumPyとPandasはデータの形式や目的に合わせて、使い分けるとよいでしょう。
データの前処理については、下記で詳しく解説しています。
ディープラーニングのモデル構築〜テスト:Pytorch
ディープラーニングモデルは1から自分でプログラミングすることも可能ですが、数式やPythonの深い理解が必要です。そのため、効率を重視するのであれば、Pythonのディープラーニング用のライブラリである「Pytorch」がおすすめです。
おすすめな理由は、Pytorchではディープラーニング実装に必要な演算処理や活性化関数が関数化されており、数行で簡単に実装できるからです。
nn.Conv2d(…)
nn.ReLU()
また、誤差逆伝搬をバックグラウンドで自動的に実行してくれる関数も用意されているため、勾配計算を簡略化できます。
loss.backward()
Pytorchを利用すれば、複数の数式を実装する手間が省けるため、積極的に活用してみてくださいね!
ディープラーニングの評価:NumPy・Seaborn・Matplotlib
ディープラーニングモデルの評価で必要なPythonのライブラリは、下記の3つです。
Pythonライブラリ名 | 概要 | 利用シーン |
---|---|---|
NumPy | 数値計算ライブラリ | F値やMSEなどによる定量評価 |
Seaborn | データの可視化用ライブラリ | ヒートマップ表示などを使ったデータ分析時 |
Matplotlib | グラフ描画ライブラリ | 学習とテスト経過のグラフ作成 |
グラフの描画はMatplotlibでも十分できますが、より楽に複数のグラフを描画したい場合にはSeabornがおすすめです。
ディープラーニング実装に役立つPython本
ディープラーニングの実装スキルを高めるためには、サンプルコードを参考に自分で手を動かすことが近道です。
下記の表で、Pythonでディープラーニングを実装するときに役立つ本を2つ紹介します。
書籍名 | 概要 | 学べるディープラーニング手法 | おすすめな人 |
---|---|---|---|
最短コースでわかるPytorch&深層学習プログラミング | Pythonでディープラーニングを実装する基本技術が網羅されている入門書 | CNNのディープラーニングモデル | ディープラーニングに必要なひと通りの知識とプログラミングスキルを手に入れたい人 |
Pytorchによる発展ディープラーニング | さまざまな分野のディープラーニングモデルを実装できる実践寄りの本 | 【画像認識】 GAN 【自然言語処理】 BERT 【動画分類】 ECO など8分野の11種類 |
実装力を身につけたい人 |
2つの本を使えば、Numpy・Matplot・Pytorchの基本的なプログラミングスキルから、実務に活かせる実装スキルまでひと通り習得できます。そのためPythonの実装力を磨きたい方は、どちらも持っておいて損はないでしょう!
なお、Pythonの基礎から学びたい人は、下記をチェックしてみてくださいね。
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まとめ
・魅力1. 担当教師によるマンツーマン指導
・魅力2. オーダーメイドのカリキュラム
・魅力3. 3,960円/30分で必要な分だけ受講
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まとめ
ディープラーニングの実装には、データ加工・深層学習ライブラリが豊富な「Python」がよく使われます。例えば、ディープラーニング用のデータ加工にはPythonライブラリの「NumPy」や「Pandas」が使用され、モデル構築には「Pytorch」が使われます。
Pythonにはディープラーニング実装に必要なライブラリが豊富なため、使いこなせるようになればスムーズに実験可能です。
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