データサイエンスという言葉はよく聞くようになりましたが、具体的にどのようなお仕事や活用事例があるのでしょうか。関連する職種や大学で学ぶための専攻、そして業種別に活用事例を見てみましょう。
データサイエンスとは
データサイエンスとは、ビッグデータから法則性や関係性を見出し、ビジネスの意思決定を支援する学問分野・実務領域のことを指します。大量のデータが得られやすい現代のデジタル社会において、必要不可欠な領域と言えるでしょう。
仕事内容
データサイエンスに関する主な仕事は、大量のデータから価値ある情報を抽出し、ビジネスの意思決定に活用することです。具体的な業務内容は多岐にわたりますが、大きく次の3つに分けられます。
- データ収集と前処理:分析を行う上で大切なデータですが、多くのケースで不揃いなデータがほとんどであるため、データを集めて処理しやすい形状に整える作業が必要です。
- データ分析とモデル構築:統計学に基づいた手法や機械学習アルゴリズムによって分析を行い、データの傾向や関係性を見つけ出します。目的によって異なりますが、回帰分析やクラスター分析、機械学習モデルの構築などの手法が代表的です。
- 結果の可視化と知見の提示:分析によって得られた結果をわかりやすい形にして可視化します。発見できた知見を経営者やビジネス部門に提示することで、意思決定の支援ができますね。
関連する職種
データサイエンティスト
データサイエンティストは、組織の大量のデータから価値ある情報を抽出し、ビジネスの意思決定を支援する役割を担っています。最初の仕事は様々な情報源からデータを収集し、クリーニングや変換を行い、分析に適した形に加工することです。次に統計手法や機械学習アルゴリズムを使ってデータ分析を行い、有用なパターンや関係性を見つけ出します。
目的に応じて有効な分析手法を使い分け、最後に分析結果を分かりやすく可視化し、発見された知見を経営層やビジネス部門に対して提示します。そのため、データの扱いやプログラミング、統計学などの高度な専門知識と、コミュニケーション能力が求められる職種です。
データアナリスト
データアナリストは、データを活用して業務改善やビジネス施策の立案を行うお仕事です。各種データソースからデータを収集し、指標化やクロス集計などの集計処理を行います。そして基本的な統計分析や可視化を行い、業務の現状や課題をレポートにまとめ、業務改善や新規施策の立案の支援も大切です。
データアナリストはデータサイエンティストと比べてクライアントに近い立場で、データハンドリング能力に加え、ビジネスリテラシーと課題発見力、コミュニケーション力が求められます。
AIエンジニア
AIエンジニアの主な仕事は、人工知能や機械学習の技術を製品やサービスに実装する役割です。データサイエンティストが構築したモデルのパフォーマンスチューニングやAPI化を行い、モデルの監視・自動学習・更新のためのパイプラインやシステムを構築します。
さらに、機械学習モデルを組み込んだAIシステムの開発や、システム運用も担当することから、AIエンジニアにはプログラミング力に加え、機械学習の理論的な知識と、実務での適用力が求められます。
データサイエンスが注目される理由
予測アルゴリズムの発展
機械学習の予測アルゴリズムが飛躍的に進化し、ビジネスでの活用が広がっています。従来は線形回帰などの比較的単純なモデルが主流でしたが、近年はランダムフォレストや勾配ブースティングなどの高度なアルゴリズムが登場しました。
これらの新しいアルゴリズムは、非線形で複雑なデータに対しても高い予測精度を実現できるようになり、マーケティングでの売上予測、金融での与信審査、製造業での不具合予測など、様々な分野で利用されるようになります。
機械学習の進歩
機械学習の技術、特にディープラーニングが目覚ましい進歩を遂げ、データサイエンスの領域を大きく広げています。ディープラーニングとはニューラルネットワークを使った機械学習の手法の1種で、画像認識や自然言語処理など、従来は人手に頼らざるを得なかった高度な判断を機械が行えるようになりました。
例えば、医療画像診断や顧客対話システムの構築、機械翻訳などが可能になり、作業の自動化や新サービスへの応用が可能です。
コンピュータの性能向上
データサイエンスの発展を後押ししているのが、コンピューティング性能の飛躍的な向上です。CPUやGPUの性能が年々上がり、大規模データの処理が可能になってきました。機械学習の学習には何百万件、何億件もの大量データを使う必要があり、その計算に膨大なリソースを要します。しかし、ハードウェア性能が上がったことで短時間での処理が実現し、高精度なモデル構築が可能になってきたのです。
また、クラウドコンピューティングの普及により、必要に応じて高性能なリソースをすぐに利用できるようにもなりました。このようなコンピューティング環境の進化が、ビッグデータ分析を実現可能にし、データサイエンスの発展を大きく後押ししています。
参考:https://www.stat.go.jp/teacher/dl/pdf/c4learn/materials/fourth/dai1.pdf
データサイエンスの身近な例
推薦システム
オンラインショッピングや動画配信サービスなどで利用されているおすすめ機能は、データサイエンスの身近な例です。ユーザーの過去の購買履歴や視聴履歴、閲覧履歴などのデータから、その人の興味や関心を機械学習モデルで分析します。
そして、類似のユーザー情報を参考に、おすすめ商品やコンテンツを予測し、個人に合った推薦を行うのです。この技術により、ユーザー一人ひとりに最適化された体験を提供でき、サービスの利便性が大きく向上しています。
金融分野
金融機関では、与信審査や不正検知、リスク管理などの用途でデータサイエンスが不可欠な技術となっています。例えば与信審査では、申込者の属性データと過去の返済データを機械学習に利用し、リスクモデルを構築します。
このモデルを活用することで、審査の精度が格段に向上し、過剰な債権放出や、優良顧客の見落としを防げるようになりました。また不正検知でも、過去の不正事例データをもとに、異常検知モデルを作ることで、組織的な金融犯罪への対策が可能になっています。
医療分野
医療の現場でも、データサイエンスの活用が進んでいます。ディープラーニングによる医用画像診断がその代表例です。大量の診療画像を学習することで、機械学習モデルによって以上を検知することができます。
さらに、スマホで簡単に健康診断を行える医療botなども病院の受付で活用され、診断に必要な情報を事前に獲得できたり、素早い診断が可能となりました。
データサイエンスを学ぶには
データサイエンスを学ぶためには、様々な学問分野の知識を身につける必要があり、大学でどのような学部を選択するかも重要なポイントになります。
関連する学問
数学
数学は、データサイエンスの基礎を形作る重要な学問です。具体的な分野としては、確率統計や微積分、線形代数や機械学習アルゴリズムで活用される最適化理論などが必要です。機械学習は数理モデルであるため、基本的に全てが数式で表現されます。
そのため、根幹となる理論を十分に理解するためには、いくつかの分野を学ばなければなりません。
ただし、実際に現場で実装する際にはあらかじめ用意されたライブラリを用いるため、深い数学の知識はなくても開発は可能です。
コンピュータサイエンス
コンピューターサイエンスは、データサイエンスの理論や手法を実装するためには、コンピューターサイエンスの知見と技術力が求められます。特にプログラミングの知識は欠かせません。
データの収集、前処理、分析、可視化など、一連の作業をプログラムによって実装する必要があります。利用されるプログラミング言語はPython、R、SQLなどです。またデータの構造化の仕方や、効率的なアルゴリズムの設計など、プログラミングの基礎概念を確実に理解している必要があります。
ドメイン知識
データサイエンスを実際のビジネスや産業に役立てるには、分析対象となる領域の深い理解が欠かせません。例えば、金融分野では財務・会計の知識、医療分野では生物学・生理学の素養などがそれぞれ求められます。
ドメイン知識があれば、分析結果を的確に解釈し、より実践的な施策につなげられるようになります。単なるデータ解析に留まらず、本当に価値のある成果を生み出せるよう、対象領域に精通していることが重要なのです。
大学の学部選び
データサイエンスを学ぶには大学で何を専攻するかが重要になってきます。特に機械学習やデータ分析について知識を深められる学部を3つご紹介します。
- 理学部:関連する学問は主に数学ですが、実は人工知能の一種である深層学習は生物学で研究されるニューロンの仕組みを模擬したものであり、どちらもデータサイエンスにとって非常に重要です。
- 工学部:情報系学科ではデータサイエンスを実践するための技術的な知識を学べます。プログラミング、データ構造、アルゴリズム、データベースなどの知見を深めることができます。
- 経営学部:ビジネスの課題解決にデータサイエンスを活用する観点から教育が行われています。データ分析力と経営リテラシーの両方を併せ持つことで、実践的なデータ活用ができる人材を育成しています。
参考:https://datamix.co.jp/media/careerenhancement/data-scientist/university/
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まとめ
・魅力1. 担当教師によるマンツーマン指導
・魅力2. オーダーメイドのカリキュラム
・魅力3. 3,960円/30分で必要な分だけ受講
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